今年もミツバチの大移動が無事に終わりました【遊牧完了!!】

今年もミツバチの大移動が無事に終わりました【遊牧完了!!】

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今年もミツバチの大移動が無事に終わりました。太田養蜂場では鹿児島・鳥取・秋田と季節や花の時期に合せて移動しています。「なぜ、そんな長距離をミツバチと移動するのですか?」と聞かれる事が多いので、この記事ではミツバチとの養蜂家が移動する理由をお話していきます。

 

養蜂家がミツバチと移動する理由

 

養蜂家は『日本版遊牧民』と言われるほど季節によって移動します。では、なぜ養蜂家は移動するのでしょうか?ここでは養蜂家がミツバチを移動する理由についてお話しています。

 

 

ミツバチは寒さと暑さに弱いから移動する

 

ミツバチは寒さと暑さに弱いです。太田養蜂場がある新ひだか町では冬になると-15℃くらいになるときもありますし、海岸線沿いにあるので冬の冷たい風が海から吹き付けてきて本当に寒いです。そんな中でミツバチを育てようとすると、巣箱に断熱材を張ったり風よけの壁をトタンで作ったりしなければなりません。

 

養蜂家にとっては、とても手間がかかりますし必ず越冬ができる保証が無いので冬になると温かい場所へミツバチを移動します。太田養蜂場は鹿児島ですが養蜂家によっては千葉県や三重県や四国方面など暖かい場所に向かいます。

 

寒さをしのぐためにミツバチを移動することもありますが、逆に暑さを避けるために移動することもあります。寒さを凌ぐために移動したのは冬が寒い北海道などの養蜂家です。夏の場合は夏にあつくなる内地の養蜂家が北海道や東北地方に移動をします。

 

ミツバチは実は寒さより暑さに弱いです。特に湿度の高い暑さが苦手ですので、涼しい場所に移動するのです。

 

 

ミツバチが増えないと蜜が採れないから移動する

 

秋になってくるとミツバチの女王は産卵のペースを少なくした、りオスバチを巣箱から追い出します。なぜなら、ハチミツが採れなくなり巣の中にためてあるエサだけで越冬をしなければいけないので、食いぶちを減らすようにします。※オスバチは交尾しか仕事が無いので追い出されます。

 

秋にミツバチの数を減らして春になるにつれて産卵を増やしていきます。つまり、気温によって女王蜂は産卵の量を調整しているのです。この習性を利用してミツバチを早く増やすために暖かいところに移動します。

 

ミツバチを早く増やすには理由があります。それはミツバチが少ないと蜜が採れないからです。ミツバチの群れのほとんどは働き蜂です。働き蜂は生まれた日数によって育児係や集蜜係などのうに仕事が決まっています。ですので、ミツバチの絶対数が少ないと働き手が居なくなりどれだけ天候や花に恵まれても蜜を集める量が圧倒的に減ってしまいます。

 

 

ミツバチを移動するのはたくさん蜜を採りたいから

 

ミツバチを移動するのは、複数の蜜を採るという目的もあります。ハチミツを採る花は桜前線と同じように南から徐々に咲いていきます。例えばアカシアだと鳥取県は5月初旬〜中旬ごろ咲きますし、秋田県では6月始めごろに咲いています。※地域や時期によって多少の誤差はあります。

 

花の『前線』を利用して、養蜂家はより多くのハチミツを採ろうとしているのです。また、ハチミツの種類も複数採ることができます。当店ではありませんが鹿児島でレンゲ蜜・静岡でみかん蜜・北海道でアカシア蜜という風に移動しながら複数のハチミツを採っている養蜂家も居ます。

 

太田養蜂場の場合は、鳥取でレンゲとアカシア蜜・秋田でトチ蜜・北海道でアカシアやクローバー蜜などを採っています。

 

養蜂家が移動するのには、蜜の量や種類を少しでも多く採るという目的があるのです。

 

 

ミツバチと移動するリスク

 

ミツバチと日本全国を回る養蜂家ですが、移動にはリスクがあります。それは『ミツバチの全滅』というリスクです。

 

『ミツバチは寒さと暑さに弱いから移動する』でお伝えしたようにミツバチは特に暑さに弱いです。ですので炎天下の中に移動すると暑さで全滅することがあるのです。

 

暑さで全滅と言いましたが、実は気温や直射日光の影響だけで全滅するわけではありません。暑さに弱いミツバチたちは気温が極端に上昇すると騒ぎ出します。この時、巣箱の外に出られればよいのですが移動中ですので出入り口は締め切っています。ミツバチが騒ぐことで更に巣箱内の気温が上がり、最後には自分たちで騒いだ暑さで死んでしますのです。

 

「そんなに暑さに弱いなら涼しい時に移動すれば良いじゃないですか」と思う方も居ますが、花の前線に合せて移動している養蜂家は涼しい時を待っていられない場合が多くあります。ですので、気温が高い日中はできるだけ車を走らせ巣箱の空気孔から風が入るようにしています。

 

 

 

太田養蜂場がミツバチと移動した先で行っていること

 

僕たち太田養蜂場は移動をした先で、どんなことをしているのか?地域別にお伝えしていきます。

 

 

ミツバチと移動の理由〜鹿児島編〜

 

『ミツバチは寒さと暑さに弱いから移動する』でお伝えしたようにミツバチは秋あたりから産卵のペースを落とし、春になると産卵のペースを挙げてきます。ですので、春が早く来る鹿児島にミツバチを持っていくことで、北海道よりも産卵が増えていき、ミツバチが増えるペースが上がるのです。

 

他にもミツバチの群れを増やしたり古い女王蜂の更新なども行っています。

 

【ミツバチの群れの増やし方】

 

一口にミツバチの群れを増やすと言っても、どんな方法で行っているかイメージしにくいと思うのでざっくりですが解説しますね。

  1. たくさんミツバチがいる巣箱から女王蜂以外の蜂と働き蜂の幼虫や蛹がある巣を一定数とりだし、空の巣箱に入れる
  2. 別の巣箱で育てていた女王蜂の蛹を1の巣箱に入れてあげる
  3. 蛹の女王蜂が生まれてオスバチと交尾したら群れの完成

かなりザックリですが、こんな流れで新しい群れを作ります。「女王蜂のサナギどうやって作るのですか」という方も居ると思いますので、こちらもザックリですが説明します。

 

■女王蜂の蛹の作り方

  1. 2段の巣箱の上と下を専用の網で仕切る(網目は働き蜂だけ通れる大きさ)
  2. 下に女王蜂をいれて上の段は働き蜂だけの状態を作る
  3. 専用の巣枠に働き蜂の幼虫を入れる
  4. 3を働き蜂だけの上段に入れて1週間ほどで蛹になる

※女王蜂は自分以外の女王を認めないことが多くサナギを壊したりするので、女王蜂の居ない状態を作ります。

 

鹿児島でミツバチを増やさないと、次の鳥取でのレンゲの開花に間に合わないのも鹿児島へ移動する理由です。また、最近ではローヤルゼリーを採ったりするときもあります。

 

今年はとても良い蜂ができて鳥取の移動へはずみが付きました。

 

 

ミツバチと移動の理由〜鳥取編〜

 

鳥取へミツバチを移動する理由は、レンゲとアカシアの蜜を採るためです。ただ、現在は様々な理由で蜜が採れなくなってきています。

 

【レンゲとアカシア蜜が取れなくなった理由】

 

■レンゲ蜜

 

レンゲは田んぼの緑肥として使われてきました。ただ、最近は価格肥料の発達で手間をかけなくても土を作ることが出来るようになってきています。耕運機を使ってレンゲを土にすき込む手間を考えると化学肥料は撒くだけなので、化学肥料を選ぶ農家さんが増えてきたので、レンゲが減っています。

 

他にもレンゲの花を食べてしまう害虫が海外から入ってきて、猛威を奮っているのも理由です。レンゲの最盛期に花を食べてしまうのでハチミツが採れないのです。

 

太田養蜂場では対策として、レンゲの種を購入し農家などの協力をいただき、種を蒔いてもらっています。ですが、なかなか効果が出ないの現実だったりします。

 

■アカシア蜜

 

太田養蜂場では鳥取砂丘の近辺や特別な許可をもらい鳥取空港の敷地内で、アカシア蜜を採っています。ただ、アカシアが大きくなりすぎているため。10年近くまえから景観や防犯対策のために伐採が進み、かなりの大木が姿を消しました。アカシアの減少と比例するように生産量も減っていったのです。

 

レンゲ蜜もアカシア蜜も採れなくなって来ました。また、北海道にも5月ごろにミツバチを設置して蜜を採るようになったので人手が落ち着かず、来年から鳥取への移動はやめることになりました。
残念ではありますが、バランスを考えると最良の判断だと信じています。

 

 

ミツバチと移動の理由〜秋田編〜

 

秋田ではトチ蜜を採っています。ハチミツに詳しい人なら、秋田といえばアカシアと思う方も居るかもしません。ただ、当店がミツバチを置かせてもらっている『栗駒国定公園』周辺ではアカシアが少なく採れないのです。

 

ハチミツを採る他にも時間が出来ることも多いので、巣枠を作ったりなどの必要だけど時間がかかるような雑用を行うこともあります。

 

 

ミツバチを移動するためには許可が必要なんです

 

ミツバチを移動するためには県ごとに許可や手続きが必要になります。好きなところにミツバチを持っていっていると思っている方も少なくないので、ここで解説していきますね。

 

ミツバチの移動は知事の許可が必要

 

ミツバチを移動するためには知事の許可が必要になります。太田養蜂場だと北海道・秋田県・鳥取県・鹿児島県の知事の許可がなければミツバチを移動することができません。なぜならミツバチには伝染病(人への感染はなし)があって、無秩序に移動できるようになると伝染病を拡散してしまう可能性があるからです。もちろん、移動の許可には検査も必須です。

 

許可を申請するときには、以下のような情報が必要です。

  • ミツバチを置く場所の住所
  • ミツバチを置く場所の所有者名とハンコ
  • 置くミツバチの群数(予定)
  • 伝染病検査の結果(異常が無いことが絶対条件)

上記4つなどを書類を地域の養蜂協会や県に提出することで移動が可能になります。
※手続きの詳細は割愛します。

 

まとめ

 

ミツバチを移動は養蜂家にとって、ミツバチを増やしたりハチミツの生産に大きなメリットがあります。ただ、移動中にミツバチを全滅させてしまうリスクを背負いながら移動をしています。

 

ミツバチを移動するときには許可を受けなければならないので、好きなところに好きな時にミツバチを移動することはできません。ちなみに、太田養蜂場のように移動をして養蜂をするスタイルを『移動養蜂』と言います。逆に移動しない養蜂家を『定置養蜂家』と言います。いずれ定置養蜂家についても記事を書いて行きますので、楽しみにしていてくださいね。


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